オレンヂスタ

伊藤文乃

 

■総評

 まずは参加団体の皆様、実行委員の皆様、前例のない状況での演劇祭へのご参加とご開催、本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。そして様々な事情で今回参加できなかった皆様、お会いできず残念です。いつか皆様の作品も拝見したく思っております。

 夢Code Core演劇部、中京大学演劇部劇団いかづち、劇団Nobleという3団体が審査対象となったのは、(もちろんご本人たちの努力がありつつも)最終的には偶然の結果だと思うのですが、それぞれの作風や手法、やりたいことが、文字通り三者三様にバラバラだったことがとても嬉しいです。単純に楽しく観させていただいたというのもありますし、何より、今回触れることができなかった名古屋学生演劇全体の豊かさに期待が持てました。

 「演劇する」のが難しい時期はまだまだ続くと思いますが、皆様の今後のご活躍を舞台で、映像で、客席で、拝見する日を楽しみにしています。そして劇団Nobleさん、この度はおめでとうございます。全国学生演劇祭でのご活躍を楽しみにしております。

劇団あおきりみかん

鹿目由紀

 

■総評

 まずは、このコロナ禍の現在において、応募してきてくださった皆様にお礼を申し上げます。それぞれが異なった事情を抱えながらの作品づくりだったと思います。

 結果、三団体という少数の出場ながら、見事にバラバラの型を持った作品が揃ったことに驚きました。面白い試みがそれぞれにあり、また試行錯誤の末たどりついた『動画』作成であったと思います。今回、実行委員の皆様と話し合い初めての試みとして導入された『作品プレゼン』という時間においても、三者三様、違ったアプローチの仕方を試みたこと(動画をあえて凄く短くまとめたり、ZOOMによる会話劇にチャレンジしたり、カメラワークにこだわったり)が聞けまして大変楽しみ、悩ませて貰いました。

 ただし、制限された中でそれを越えていく力というのは、魅力的に感じるものであります。制限を逆手にとる機会に恵まれたという解釈に至り、追求することができたのか、というと、そこまで跳ねたものにはなっておらず、心躍るほど面白いものには残念ながら出会えませんでした。

 もちろん生で上演として見たら良かった部分も沢山あったでしょうし、実際の上演のほうが思いついたこともあったでしょう。ですが、残念ながらこのような状況の終わりが見えない昨今、今ある遊び道具で面白くするにはどうしたらいいかをコミュニケーションの芸術に携わる者としては追求していくのが、世代問わず課題なのかもな、と半ば自分にも言い聞かせるつもりで痛感しております。ですので、今回感じられた素敵なアイディアの芽を、現状でももっと跳ねさせるにはどうしたらいいのか、をこれを機に深く追い求めていっていただけたらなと思います。

 優勝した劇団Nobleさん、おめでとうございます。より濃く現在のスタイルの新たな形を追求していただきたく思います。札幌、応援しています。

廃墟文藝部

斜田章大

 

■総評

 結果的に審査対象となった作品が少なくなってしまったのは悲しいですが、それぞれ個性的な作品が見られ、個人的には楽しく拝見できました。この状況下で作品をきちんと完成できたことが本当に素晴らしいと思っています。

 また残念ながら出場のできなかった団体様に置かれましては、私も自劇団の公演を断念した身として、その悔しさ、憤り、辛さ、とても分かります。こんなことしか言えないことが私としてもとても悔しいですが……なんとか力を合わせてこの危機を乗り越えていければと思っています。色々な想いがあると思いますが、まずはご自身の心に寄り添われるのが良いと思っています。上演しなかった自分を否定しないであげてほしいです。何か、力になれることがあればと強く思っています。

 さて。僭越ながら講評をさせていただきましたが、勿論、私の言っていることが全て正しいわけではありません。

 我々は皆、あまりに広大な山をおっかなびっくり、それぞれの方法でなんとか登っている状況です。創作をしていくなかで、個人的に大切にしているルールもありますが、一年もしたら、変わっているのかもしれません。

納得いく講評、納得いかない講評。それぞれあったと思いますが、納得いかないものは、無理して納得はしないでいただければと思っています。そして、なぜ納得いかないかと自分に是非問いかけてほしいです。

 そうするとまだ見えていなかった、新しい自分の中で大切にしたいものが見つかると思います。他人の意見はあくまで、新たな自分の意見に気づくための手段でしかありません。

 私の意見が、皆さんの何かしらの閃きの一助となれる事を、心から、心から、祈っています。

 これからも、この先の見えない広大な山を、力を合わせて、たまには仲良く、たまには喧嘩して登れたらと思います。

 そしていつか、全然別のルートを辿っていたはずなのに似たような位置で再開して、一緒に素敵な景色を見られたらいいですね。そうなったら楽しいですよね。

 今回は誠にありがとうございました。